IT系コミュニティで、「推し」をテーマに自由に話す会というものを企画した。
私は推し活趣味をしていない=コンテンツを次から次へ渡り歩くタイプなので、より抽象的な「小説の形式」を推すというトークが話しやすいと思った。
これは、そのトーク(登壇)とほぼ同じ内容の記事です。
私は「連作短編集」という【形式】を推している。
作家、作品、ジャンルではなく、形式推しなのです。
・これは良い連作短編だと思った小説 その1
『父親たちにまつわる疑問』 ミステリー
ヒーローではなさそうな感じの探偵が一人称で話を進めていく。全編を通して、この探偵と、娘と、もうひとり:不思議な感じがするサブキャラクターがユーモア溢れる会話を繰り広げる。
とても素敵な人生讃歌です。
*
『午後のチャイムが鳴るまでは』 ミステリー
部活、教室、学園祭……。大人になってから学園ものを読むとちょっと気恥ずかしいな、、と最初は思うかもしれないけど、「高校」という舞台ならではの縦軸が用意されているので、ミステリーとしてお勧めする一冊。
・連作短編集とは?
「連作短編集」は、「短編集」とは区別される形式だよっ! という話をさせてほしい。
一編単位で完結するのが「短編集」ですね。
「短編集」のほうはどんな順番で読んでも構わない。
……と、言い切ってしまうと、順番を熟考してくださっている作り手サイドの方々を少なからず悲しませてしまうに違いないため、【声を大に】は言わない。(どんな本も順番大切!)
ただ敢えてドライに読者サイドのある種の本音を曝け出してしまうと、短編の作品同士のつながりは薄く(←この後説明する連作短編集と比較すると)、どんな順番で読んでも面白さが損なわれることはない、と考えられているだろう。
あ、たとえば「短編集『九マイルは遠すぎる』に収録されている「九マイルは遠すぎる」を読んでみてよ」、という要領で短編1作だけを人に勧めることができるのが「短編集」だといえば伝わるだろうか。
>>>
それに対し、「連作短編集」は、順番通りに読むことにこそ意味がある。順番に読まなければいけない。単発の作品だけで読むものでもない。
短編の物語で積み重ねられた読書の記憶が、最終話でもたらす「読んでよかった」という気持ち!
これが私が「連作短編集」を推す理由だ。
・良さ
・「短編」という区切りがあるから、テーマが違うバラエティに富んだ作品を読むことができる。
→短編の良さ。
・クライマックスに向けて物語の縦軸が収束するのを楽しめる。
→長編の良さ。
両者の良いところ取りのような良さがある。
・これは良い連作短編だと思った小説 その2
『オリンピア』 海外文学
Amazon.co.jp: オリンピア : デニス・ボック, 越前 敏弥: 本
あなたには、いまはもうない場所、できごと、人の記憶はあるだろうか。すでに触れることはできない遠い日。私自身のルーツ。それがあるからこその今。
語り手の人生を追体験するようなお話です。
*
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 (れいばい たんてい・じょうづか ひすい) 本格ミステリー
「未読の方に深く話さない方がいいミステリー」という本がこの世には少なからず存在する。
チャレンジしてみてください。
本を読んでみたい方に、連作短編集はいかがですか? とお勧めしたいです。
お勧めの連作短編集があったら、教えてください!