かつて国内大手SIerの大規模なウォーターフォール開発現場にいたときの思い出

ふとした気づきをつらつら。

エンジニアの取り組み(=技術記事)を発信できない慣例……

大手SIerのウォーターフォール案件でおこなわれている取り組みは、インターネットの記事を検索しても、抽象的な話しか出てこないのですよね。

現場レベルの情報は多重業務委託の結果、かつての私のような名もない協力企業の人が手を動かしているので、「秘密保持」の対象とみなされます。

したがって、どうしても「このプロジェクトでは、こういう考えで/こういう過去の出来事があって、こんなことをしています」というエンジニア目線の情報は発信されづらい。

→→→ お客さん目線で考えれば、国や金融機関のシステムともなれば、自由な情報公開=リスクであるので、情報公開に踏み切るのは難しいところ。そもそも、いただいている工数は発信活動のためのものではない、ということも気になる。

エンジニア目線では技術情報発信に厳しい現場だなあと思います。

私はそうではなかったですが、大手SIerのウォーターフォール案件で働きながら、社内発信を中心に強くなっていく方もいらっしゃいます。100%業務とは関係ない個人活動を発信する方もいらっしゃいました。いずれも「体力」「バイタリティ」に自信がある方に向いている活動方針だと感じられました。

私は体力に自信がなかったので(現場にいた頃の認識では、 世の平均値<私<<<<<体力すごい人 だと思っていた。)、業務内容に基づく技術発信ができる職場に転職しなければ、発信する経験は積めそうにないなあ、と思っていました。

(これを書いている現在は既に転職しており、業務の一環として技術発信が推奨されているベンチャーに入社したことで、執筆の機会が増えました。)

IPAのWebサイトで閲覧できる情報 → 現場エンジニアが普段考えていることとはちょっと違う

◆IPAのアーカイブ>書籍・刊行物 リスト

https://www.ipa.go.jp/archive/publish/index.html

PDFが公開されています。

だいぶ抽象的で、研究発表のような内容です。

現場レベルの話ではなくコンサル向きの情報ですね。

◆2011/07/22「ソフトウェア開発の標準プロセス」(財団法人計算科学振興財団 ソフトウェア・エンジニアリングセミナー)

https://www.ipa.go.jp/archive/files/000004771.pdf

この登壇資料はわかりやすかったです。

小説/『長い別れ』

読書会参加後の感想ポストなので、いろいろ混ざっているかもしれない。

私は本格ミステリー小説読みだけど、それとは別のところにある引き出しで『長い別れ』をとても良い話だ思っている。

初読のときに読んだ本は、村上春樹さんの『ロング・グッドバイ』だった。

『長い別れ』

www.tsogen.co.jp


幕開け

一行目から、フィリップ・マーロウが語る、テリー・レノックスとの出会いの話。

様々な体験を経たマーロウが、「レノックスは、殺人を自白し、死んだ」と聞かされてオープニングが終幕するまで、短いページの中に濃厚なエピソードが綴られる。

この長い物語の最も重要といえる一幕を、あっという間に描き切るページの使い方がこの上なく贅沢だ。

今までの、「依頼人とのシニカルでちょっとオシャレな(ともすると冗長な)会話」で幕が開くことが多かった過去の長編作品と比較をすると、冒頭にサビをもってきているというか、この本だけ飛びぬけて垢抜けた感じがする。

死別と日常

殺人事件、尋問と拘留、友との死別という大きな出来事を経て、マーロウは私立探偵業に復帰する。タフな男には、タフな男なりの日常がある。

私は、ドラマのサブエピソードのような、このパートがとても好きだ。

裏の仕事をしているらしい医者から夫を奪還してくれという妻の依頼、犬が殺されそうだという依頼、間男と逃げた妻を探してほしいという夫の依頼…。

けれど。

大きな出来事を忘れ現実を生きているように見えて、苦く重たいものを抱えるように、マーロウは、死の直前にレノックスが送ってきた手紙のことを忘れられない。

好きなワンシーン

富裕層専門の興信所に勤める調査員から情報を探り当てて、粛々と仕事をしているパートが好きだ。

マーロウ、ちゃんと探偵らしい仕事をするし、友達に信頼されているんだなと感じられてうれしい。

この本のマーロウは、他人から信頼を寄せられることが多いので、そういった相手との会話を楽しく読むことができる。

美しい女たち

『長い別れ』にはわずかな人数の女性が登場し、マーロウに接触してくる。

・シルヴィア(故人。顔をつぶされた姿で死んでいた)

・リンダ(演:冨永愛)

・アイリーン(演:小雪)

演者さんの情報は、2014年放送のNHKのドラマから。これがとてもキャラクターのイメージとマッチしているので、本を読むときもこのキャスティングを思い浮かべながら読んだ。

ちなみに、テリー・レノックスを演じたのは綾野剛だ。

レノックスはとんでもない男で、マーロウ自身「やめろよそういうの。そういうとこだぞ」という思いを隠すことなく口にするのに、なぜ助けてしまうのか。

相手が綾野剛だったらそうしてしまうね、と納得するしかない。

殺人犯

事件の全貌・犯人をほぼほぼ覚えていられないチャンドラー作品の中でも、『長い別れ』だけは、真相をよく覚えていた。(シリーズの中でも、真相がかなりシンプルなほう。)

再読で犯人のマーロウに対する接し方を改めて追ってみると、「なるほど、確かにそういう心理状態の行動だ…」と思えた。

「犯人が被害者の遺体の顔をつぶした理由」がとても興味深い。


「殺人」という極限の出来事を通して、ある種の”友情の妙”が描かれていく。

「誰かの姿を見えなくなるまで見送る」という普遍的なシーンの余韻が強く残る。

私がこういうときにいつも思い出すのは、映画『スターウォーズ』で語られた「夕日が沈むのを止められないように、別れを避けることはできない」という台詞だ。

儚く美しく描かれる「でもごめん。無理だから」

この後書くことは、読書会で特に議論されたテーマを含むので、もし参加する前にポストを書いていたら、この先の数行はやや違った内容になっていたはず。

(以下、物語の展開への言及があります)

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ファーストピアスを引っ張って耳を痛くしてしまうシチュエーション集

皮膚科のクリニックでピアスホールを開けてもらい、ファーストピアス生活をはじめてから2週間目くらいに突入。

日々うっかりファーストピアスを引っ張って、耳に鋭い痛みを走らせがちなシチュエーションをまとめてみました!

  1. 化粧水をコットンでのばす
    引っ掛けてしまうモノ:コットン
  2. メイク落としを手のひらで伸ばす
    引っ掛けてしまうモノ:手のひら
  3. ロングヘアをまとめる、かきあげる
    引っ掛けてしまうモノ:手、髪
  4. Tシャツを脱ぐ
    引っ掛けてしまうモノ:Tシャツ
  5. お風呂に入っているときのシャンプー
    引っ掛けてしまうモノ:手、髪
  6. バスタオルで髪をふく
    引っ掛けてしまうモノ:バスタオル

・まとめ

普段ピアスをつけているだけでは痛くないので、ピアスをしていることを忘れる。
→無意識の動作中にピアスの凸部をどこかに引っ掛け、引っ張って、痛い思いをしてしまうパターンが多い。

こんなにも耳のそばに手などを持ってくる動作を日々繰り返していたとは、思わぬ発見だった。

ファーストピアスはピアスホールが安定するまで24時間外せないものだけど、外せるようになったら、寝るとき、メイクのとき、お風呂のときは引っかからないように外していたい。

早く24時間ファーストピアス生活が終了する日を待ちながら、シュクシュクと日々を過ごそう。

弱くても転職したいなら転職活動をしてみる(転職の軸)

1.転職の軸(転職活動の動機)

転職活動中、本当はよくわかっていなかった

転職活動、自分にとっての「満足」とは何かがそこまでピンときていないまま、「こういう職場を探しています!」とモノスゴく胸を張って宣言していたように思う。

転職後、あとづけで何が軸だったかを確信した

転職後まだ間もないこの冬の某日。担当しているアプリのリリースがあり、追加された機能や、ソースコード*1、それに関連する技術文書等、自分の開発の成果が全世界に公開されて嬉しかった。これからもリリースが何度でも予定されていることが、とても楽しみだと感じる。

  • 自分がつくった成果物が絶え間なくインターネット上に公開されること。

もうひとつ。

自席で技術の世界に閉じこもりかけていると、ビジネスやバックオフィスのみんなの会話が聞こえてくる。

なぜ自分はコーディングによってお金がもらえているのか。なぜ事務に目もくれずにコーディングに集中できているのか。よろこんで答えを教えてくれるひとたちがすぐそばにいることが、嬉しい。

  • 他部門とご近所さん感覚で付き合えること。

自分にとっての満足はこういうことだったのだなあと、転職活動がおわったあとで答え合わせができた。

自分にとって仕事における満足とは何か?

転職活動中は、よくわからないけど「受託から、自社プロダクトにキャリアチェンジします!」「スタートアップに興味があります」と言っていた。

あとから、自分が直接所属している会社の名前で製品をリリースできるのは自分にとっての「満足」だと確信した。やっと自分のことをひとつ理解したなあと思う。

転職の軸をさがす方法って何だろう

少し前まで「楽しい」がほとんどないところで働いていたので、自分にとっての「満足」が何なのか、見えなくなっていたようだ。

シンプルなロジックで「『楽しい』がほとんどないところの逆⇒『楽しい』」と考えれば良いはずなんだけど、不平不満と何がちがうんだろうか……って悩んでしまいますよね。「リリースは数年に一度あるかないか。自分が作ったという証もなくて、楽しくない」←これがただの不平不満なのか、転職の軸のヒントなのか、はたして読み取れるだろうか。

転職の軸、あとづけで「これだったんだ!」とわかるとしても、当事者の立場で探し当てるのは容易ではないのだなあと思う。

メンターさんと対話することの効果

私は女性エンジニアコミュニティ「sister」のメンターさん(@akatsuki174さん)に、転職の軸はこれでいいですか? という話を1on1で相談した。

そこで自分の転職の軸にお墨付きをもらえて、転職活動が後ろめたくなくなったので、メンターさんに評価をしてもらうことは個人的におすすめ。

>>>

したがって、本エントリの書き出し 転職活動、自分にとっての「満足」とは何かが本当はわかっていないまま、「こういう職場を探しています!」とモノスゴく胸を張って宣言していたように思う。 には、メンターさんとの1on1というひとつの背景を追記させていただきます。


>>> 「2.自己PR」につづく。

*1:実は、私が書いたソースコードは、インターネットから誰でも見られる状態になっている。

映画『ある閉ざされた雪の山荘で』

私は小説読みなので、基本的には小説という媒体で出会う本格ミステリー的な表現に感動することが多い。その一方、映画・ドラマや演劇といった「演技」の表現媒体が本格ミステリーを楽しませてくれることにも、とてつもなく大きな期待を抱いている。

そんなワケで、時間を見つけては本格ミステリーの映画・舞台を観に行っている。

今回観てきたのは、今から30年以上前、東野圭吾さんが様々な技巧を練って挑戦的なミステリーを発表されていた頃の作品の映画版。

これからも、本格ミステリーの映像・舞台化プロジェクトを応援したい! と思える良い作品だった!

『ある閉ざされた雪の山荘で』

hlo.tohotheater.jp

オープニングでは若者たちが目隠しでバスに乗せられ、よくよくみれば〈そこまで里と連絡がとりづらそうでもない〉バス停まで連れていかれる。なぜこの地が外界から孤立した場所になるかが、本作のポイント。

印象的な演出手法として、現在時刻や、ゲームマスターらしき男からの謎の指令(CV 大塚明夫さん)が字幕で流れ、家の間取り図がイラストで描かれる。「クローズドサークルの注釈あるある」をそのまま、映像にしたような演出が多用される。

このような、普通の別荘でワイワイしているだけ? なのに、ミステリーらしい演出により〈雪山の山荘〉が仕立て上げられていく思惑が随所に見受けられ、観客も登場人物たちの心理状態に近づいていく。もうすでに騙されている?


(以下、ネタバレあり)

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