ルビーは「ぼく」の妹の名前だ。
「ぼく」はピーター。父方の祖父母と父はオリンピック選手だった。その血を受け継ぐルビーとピーターにも特別な運動の才能が備わっていた。ルビーは空を飛べる。進化する少女だ。
少年時代からピーターと家族の暮らしには、死と戦争の影があった。
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人ひとりが辿る歴史、あるいは、家族という集団が辿る歴史において、多くのものが失われていく。命、船、さっきまでそこにあった景色。
この物語の中では多くの「失われる」瞬間が描かれる。それを受け止め続けるピーターと家族の心情をみつめたくなる物語だった。
短編連作形式で描かれるため、ピーターが少年から大人に成長するに従い、子どもの成長が両親の日常に変化をもたらしていく。そんな時間の流れのイメージが浮かび上がる。
オリンピックという時間の流れが、家族の時間と静かに重なる。
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【本日発売】北烏山編集室初の刊行となるデニス・ボック著、越前敏弥訳『オリンピア』が本日刊行となりました。手に取って軽く、海外のペーパーバックを読むような感覚で読んだいただければ幸いです。1/n pic.twitter.com/OlT8Tq5Zkd
— 北烏山編集室 (@kkyeditors) December 5, 2023
『オリンピア』を読んだきっかけは、翻訳ミステリー読書会で数年前からお世話になっていた越前敏弥先生が、情報解禁日に公開した投稿でした。
これまでに越前先生の訳書はもちろん、先生が選書された読書会の課題本を読んできたので、長年の持ち込み企画という本であるなら、読んでみたいと思いました。
また株式会社北烏山編集室のご担当Mさんとも、JSHCのボランティアでご一緒させていただいており、ご縁を感じておりました。ご刊行おめでとうございます。